







本作は、2023年5月から6月にかけてにニューヨークのギャラリー「GAGOSIAN」で開催された展覧会に伴い制作されたものであり、1989年に発表された作品(無題)にフォーカスしています。

ギャラリーでは、1965年から1991年の間に制作されたオブジェやプリント作品を特集して展覧。作者は、隠喩や幻想といった概念から切り離された独自の確固たる物質的な条件のもと、「実在」するものとしてその芸術を展開しました。ポスターで使用された作品は、黒と無色のアルマイト(※註)を用いて1989年に制作されたものであり、従来見受けられるような彫刻作品用の台座を用いず、床面に直接設置する「フロアピース」作品です。
DONALD JUDD
ドナルド・ジャッド(Donald Judd, 1928–1994)は、アメリカのミニマル・アートを代表する彫刻家・デザイナー・理論家です。彼は1960年以降、装飾を排し、直線的で幾何学的なフォルムによって、素材そのものの存在感と空間との対話を追求しました。
金属や木材などの工業素材を使い、「見たまま」の純粋なかたちを提示する作品群は、彫刻・建築・家具の境界を越えて広く影響を与えています。
晩年にはテキサス州マーファに活動拠点を設け、自然と作品が共存する空間を創出。アートだけでなく、家具や空間デザインにもその哲学は受け継がれています。