




作者が創作した庭園には20世紀を代表する景観デザインがいくつもあり、全世界から広く賞賛されているが、それでも通常の造園建築の実践からはかけ離れた場所にいる。芸術家として、客観的な分析よりも研究が支えてきた直感に頼り、空間を主要な手段とする「彫刻」として風景を形作った。ランドスケープ・デザインは空間芸術であり、形式芸術であった。初期の環境計画から晩年の作品に至るまで、我々を驚かせる場所を構想し、見事に造設してきた。

本書は包括的に作者の庭園作品をまとめており、その内容や構成は多様で、数章にわたり地形、水、中庭などのテーマをまとめて扱っている。「イサム・ノグチ財団(Isamu Noguchi Foundation)」と「イサム・ノグチ庭園美術館(The Isamu Noguchi Garden Museum)」のアーカイブから抜粋した図版と自身の写真とともに「ノグチの庭園」の物語が展開される本書は、造園、美術史、庭園デザイン、そして広く美術に興味を持つ人々を納得させる一冊であろう。
