




初期のモダニズム建築「ヒーリー邸(コクーンハウス / Healy Guest House(the Cocoon House)」をはじめとしたフロリダ州サラソタに建つ住居から、物議を醸した「イエール大学建築学部棟(Yale School of Architecture New Haven)」などのブルータリズム建築、以降手がけてきた国際的プロジェクトまで、未発表のドローイング、模型、家具などもあわせて紹介し、作者を改めて高く評価する一冊である。


本書はコンパクトな作りでありながら、フロリダ州に数多く建つモダニズム建築で設計された住宅、公共施設、未完の巨大建造物、実験的なインテリア、アジアでの複合用途開発まで、その先駆的なキャリアを紹介することで、改めて今、再評価を促す。キュレーターであるアブラハム・トーマス(Abraham Thomas)によるテキストも掲載し、機能主義、都市主義、モジュール建築(プレハブ)といったコンセプトを、いかにして数十年もの年月と大陸を越えて探求したかを検証する。建築写真や作者自身が描いた図面、模型、家具、当時の記事の切り抜きなどをふんだんに掲載することで作者が建築を作り上げる過程に光を当て、シビック・デザイン、住宅開発、実験的な素材や手法など、現代と同様に作者が活動してきた時代においても重要とされるテーマを紹介する一冊である。